夏休み中の8月17日、品川で友達に会った帰り、時間があったので、
少し足を伸ばして銀座教文館で開催中の「
フェリクス・ホフマン絵本原画展」へ行ってきました。
とっても素敵な原画展でしたよ。


方向音痴の私は、銀座までの電車をちょっと間違えたりしましたが、無事、教文館に到着。
エレベーターに乗って)9Fのホールへ。ワクワクww

入場券を購入しようとしたら、なんと、グリム童話割引なんていうのがありました。
赤ずきんちゃんになって、(スカーフなど赤いものがあればなんでもいいそうです。)
「赤ずきんです」って受付で言えば、半額になるんですって。面白いですね。
知らなかったので用意してなかった、残念。。。
フェリクス・ホフマンは、スイス生まれです。(1911~1975)
絵本作家としてだけでなく、壁画やステンドグラスなどの作品もたくさん残しています。
この原画展では、ホフマンがわが子や孫のために愛情こめて描き、贈った手作り絵本が展示されています。
世界中で読まれているホフマンの絵本のほとんどは、世界に一つの手作り絵本が、後に石版画による美しい絵本として出版されたものなんです。
日本で出版された主な絵本は、「ねむりひめ」「
おおかみと七ひきのこやぎ」「ながいかみのラプンツェル」「七わのからす」「
クリスマスものがたり」「しあわせハンス」。。。などがあります。
原画展のタイトル「父から子への贈り物」のとおりに、ホフマンの4人の子や孫がホフマンから絵本を贈られたときのエピソードとともに、原画が展示されています。
ホフマンの愛情があふれていて、この絵本は全て、一人ずつの子どもたちのために描かれた個人的なものだったんだなって、わかります。グリム童話の原型から少しずれているのも、あくまで父として贈りたい子の喜ぶ姿を想いながら作った個人的なものだったからなんです。
ホフマンが最初に作った絵本は、三女スザンヌに贈った「
おおかみと七ひきのこやぎ」でした。
当時2歳のスザンヌが百日咳にかかり、生まれたばかりの弟や姉たちにも会えず、ひとりで過ごさなければならないスザンヌをなぐさめるために、この物語の絵を毎日1枚か2枚ずつ描き、続きを読んで聞かせたのだそうです。そして、絵本の中のこやぎの家は、ホフマン一家が夏休みを過ごした農家の居間が描かれていて、お話の最後の場面、こやぎたちが並んでベッドに寝ていて、お母さんに見守られているところは、スザンヌが望んでいたシーンを描いたそうです。
展示会場には、写真撮影用にこんな「こやぎの家」も再現されていましたよ。
出版されている絵本を読めるコーナーもあります。


他の絵本にも、一冊ずつ、一人ずつのこどもや孫に贈った手作り絵本のエピソードがいっぱいで、
胸が熱くなり、ウルウルしてしまうほどでした。
そして、ホフマンは絵本を子どもに読むときに、子どもが座る床に自分が下りるのではなく、
膝に抱き上げて読んであげたそうです。それは、絵にも現われていて、妥協せず美しさを追求した絵は、子どものレベルに下げるのではなく、子どもの力を引き上げてあげるという姿勢だったのだと想い、また感動を覚えました。
そんなエピソードも絵もいっぱい詰め込まれた図録は、長野の
小さな絵本美術館の発行です。
この美術館にも行ってみたいな。

ホフマンが子どもたちに送った絵手紙などもあります。
言葉も絵も、愛情がいっぱい。絵手紙なのに絵本のようです。

ホフマンが描いたステンドグラスや壁画は、スイス、アーラウの街にたくさん残っているそうです。
どれも絵に温かみがあります。

今まで出版されていなかったホフマンの「赤ずきんちゃん」、孫のスザンヌに贈ったものだそうです。
こちらは最近、福音館書店で初めて出版されましたよ。

その原画も見られるホフマン展は、明日(8/26)までです。
父の愛情をストレートに表したホフマンの手描きの絵本は、胸が熱くなる感動がいっぱいでした。